
月~金・毎朝の楽しみ
NHK BS-hi「
ぴあのピア」で、今週から、
ピアノの魔術師また
法王とも呼びたい
フランツ・リストのシリーズが開幕した。
リスト
二十歳の時、
パリで
パガニーニの
ヴァイオリン演奏を聴き
衝撃を受ける。 「
4本の弦にどれだけの苦悩が込められているか」、そう述べ、音の出ない携帯用の
木製ピアノ(上記番組で紹介)を特注し、
重い鍵盤に汗の滲む猛特訓を重ね、
超絶技巧をものにする。
フジコ・ヘミングさんの18番ともなっている「
ラ・カンパネラ(
鐘)」は、リストがパガニーニの曲をピアノ用に
アレンジしたものだ。
2000年秋
バイロイトを訪れ、
ワグナーの構想による
祝祭劇場やその邸宅
ヴァンフリート館と共に、同館に隣接する
リスト記念館を見学した。リストの娘
コジマは
不倫の末ワグナー夫人となる。 そして夫の死後
バイロイト音楽祭で彼女が演出した「
トリスタンとイゾルデ」を聴いた後、
74歳のリストは同地で息を引き取った。
50代には
ローマの
修道院に入り、以後死ぬまで公式の場は
神父姿で通したリスト。そのローマの絢爛たる
バロック彫刻 ・
建築の巨匠で、バロック美術のやはり魔術師とも法王とも呼びたい
ベルリーニは、死の直前始まった
右手の痙攣に、「
それもよかろう、辛い仕事に生涯耐えてきた手だ」と言ったという。
病魔に冒された老リストは、自分の指の衰えをどう感じていただろう。 そして死の床で、その耳には
どんな音が響いていただろうか?
上の写真は、
俳句×写真集『
恐竜×ヴィーナス=17文字
』(
HP)に収録した、次の句に組み合わせたもの。
雪の音の芯に至りて 杉倒る