シューマンの「知らない国々」～「情熱大陸」の上野樹里

20日NHK BS「ぴあのピア」はシューマン作曲「こどもの情景」についてだった。 クララに「あなたは子供みたいなところがある」と言われ、「あなたの言葉が魔法の杖となり、可愛いのができました」と生まれた珠玉の組曲。
ヴィスコンティの映画「ルートヴィヒ」でも、第1曲 「知らない国々」から順に、若き王がエリーザベトとテントで会うシーンに掛かる。続く月夜の密会で彼女はイタリアへの思いを語り、王の夢想は膨らむ。 二人は結ばれないが。
この第1曲が先月TBS「情熱大陸」、女優・上野樹里さんの回で繰り返し流れた。 彼女は母親を亡くしていて、成人式出席のため帰った故郷で、実家が取り壊された更地（さらち）を歩きながらも、努めて陽気に振る舞っていた。 「知らない国々」が切なかった。
同番組で紹介された、彼女が、夫の元カノが母というヒロイン絵恋（エレン）を演じるドラマ「冗談じゃない！」撮影の合間、眉間に皺を寄せながら「監督のイメージする絵恋になっていますか？」とけなげに問いかけていた。 キャラに溺れず、彼女の志は高いと感じた。

上の写真は、俳句×写真集『恐竜×ヴィーナス=17文字』（詳細HP）に収録した、次の句に組み合わせたもの。
　　　　
春星に往くパスポートなき ひとり