
5月8日、
父の三周忌を迎えた。
遺言により
墓もなく、したがって墓参りもなく、だが別の場所で彼女の家族と共に住む妹が、実家の居間の
テーブルを飾る花を持って来た。
左の写真は、
俳句×写真集『
恐竜×ヴィーナス=17文字
』(
HP)に収録した次の句に組み合わせたもの。
コート着て 長き廊下の奥見舞う
これは2001年1月、父が最初に入院した際の句で、深刻な容態ではなかったが、はじめて父の死を
現実的に考えた。幸いこの時は家に戻り、人工透析に掛かるようになり、3年後2004年4月下旬に倒れ、入院先の病院で
ゴールデンウィーク最終土曜に逝った。
明瞭な意識があった内の
最後の見舞いの折、父は「
アテネオリンピックは観れないな」と穏やかに言った。「やりたいことは
全部やったし、もういい」とも。
死期を悟っていたのだろう。 そしてそれは、残る者を
安心させるための言葉だったようにも思う。