
12日、
アートギャラリー環で、「
戸井田行子 新作ドローイング展」を鑑賞した。
左の
ガウディ作
サグラダ・ファミリア聖堂の絵(部分)のように、
自由で大らかな筆致の作品が楽しめる。 戸井田さんは今週末、
八十八歳、
米寿を迎えられる。
僕がこの
未完の聖堂を最初に訪れたのは大学3年の時で、当時は完成までに後
100年~200年掛かると言われていた。
1992年
バルセロナ・オリンピックの最中に再訪し、同聖堂の許で
男子マラソンを観戦した。
森下広一選手が2位で駆け抜けた後、メダル候補だった
谷口浩美選手が、首を傾げた独特のフォームで、
ただならぬ決死のオーラを放ちながら8番目に走り過ぎた。
帰国後、谷口さんがレース中に踵を踏まれ靴が脱げて
転倒し、ゴール間もないインタビューに「
こけちゃいました」と
笑顔で応える映像を見、あのオーラの訳が分かった。
男子マラソンに声援を送った日の夜、
モンジュイックの丘のスタジアムでオリンピックの
閉会式を前から8列目の席で観た。
カザルスの十八番、
カタルーニャ民謡「
鳥の歌」がソプラノで歌われる中、
聖火が
ギリシアから
リレーされ、
開会式で
アーチェリーにより聖火台に放たれる模様が巨大スクリーンに映された。
そして客席に紛れ込んでいた
悪魔達が
松明を手にアレーナになだれ込み、サーカスのテントや空中ブランコなどを燃やし尽くした。それは
紛れもないカタロニアの火祭りだった。
このオリンピックをきっかけに
寄付金も増えて、サグラダ・ファミリアの建造は
急ピッチに進み、1999年に見たのが一番最近だが、
2026年前後には出来上がる見込みという。
11日の記事中の「
モンセラートの赤い本」のモンセラートはいくつもの
奇岩が聳える聖地で、ガウディはサグラダ・ファミリアを造るにあたり工人達を同地に連れて行き、「これを造りたい」と告げた。 山上の修道院には、ガウディが
コロニア・グエルの
地下聖堂に模刻を置いた
黒いマリア像があり、僕は無宗教だが、92年に同修道院を訪れた際には、
聖歌隊の歌声の中、この像に触れる列に加わった。 外に出ると、鐘の音が奇岩の間に
こだました。